生きている時間がだんだんと、虚しくなってくる時がある。そっと輝いていた星たちも、朝になったら見えなくなる世界で、僕らはずっと、在り続けなければいけないなんて、少しだけ、億劫だ。
時々憤りが達して、洗濯機が回り始める。ケセランパセランが、少しだけ羨ましい午後。僕はそっと一人で、最寄りのカフェに行く。
起こらない未来のことを考えて、書き続け、生命を繋いで、どうせ消えてしまう世界で、踊る。信じてもいいなんて、そんな簡単なこと言わないでほしい。抑揚をつけた、ハリボテの街路樹。時に満ちていく、世間の声。僕は何者で、なにが色味なのだろうか。
もう少し、馬鹿になりたかったな。
「規定値を超えない限り、あなたに未来はないわ。」
「俺、死ぬのか。」
「そうね、そうかもしれないわ。」
「少しだけ、優しさが欲しい。」
「どうせ、忘れるのに。」
「消えるかなんて、誰にも分からないじゃないか。」
「じゃあ、わたしはなにを。」
「消えない何かを、」
揺らいでいる蜃気楼が、病室の窓から見える。精神を削り、ここまで歩いてきたのに、意外と呆気なく人生は終わるのだな。陽気な音楽が、今この瞬間も流れているのを想像すると、そっと心が和む。
有限でいられるだけ、僕ら幸せなのかもしれない。少しだけ下がって、また満ちる。今、あなたのもとで、そっと輝く星になれたら、どんなに楽なのだろう。
もし、今日出かける予定があるなら、僕は風になって、あなたの頬に寄り添いたい。