今言ったことなんて、分からないまま僕ら生きている。聴いた瞬間から忘れる言葉たち。存在意義なんて、きっとないから、味わうのは今この時だけ。ビッグバンも、そんな感じで始まったのだろうな。影。踊り交わす瞳に、勝てるものなどいないのに。幻想だけが奇天烈に終わって、せーので落ちる稲妻。もう一度だけ、愛が落ちないまま、あなたのことを愛したかった。僕ら恋をして、また世界で踊ろう。ここに示す瞳、変わる景色。二人の顔に、いずれ交わすカセットコンロ。今日は二人で、鍋でもしよう。
自由な女神。神様だって、自由なんだから、僕らも自由に生きていよう。砂鉄集めて、泥団子作って、満足していた日々。岐路。僕はメロディ。駆ける。裏写りしてしまった今の言葉。言葉の裏までは分からないから、ベルベット奏でて悲しみを掻き消す。目の前の命に感動することなんて、僕はできないまま、ショベルカーを見つめる。歌いながら、海原に立って、わたる波羅蜜。ほのかに香るウインナーの匂い。
「喋るカナリアを飼いたい。」
「何言ってんだ。」
「いいじゃん、別に。」
「いや、いいけどさ。」
「話し相手が欲しいの」
「でも、反復するだけだろ、カナリアは意味なんてわかっていない。」
「だからいいんじゃない。」
「そうなのか。」
「意味はわからないけど、言葉の心は届いている気がするの。」
理由もない恋が、そこにある雨粒。何もかも、そばに置いておきたいなんて、月を重たくして、地球に落とすことと同じじゃないか。まだ嫌な気分でそこにいるのなら、思い出すことすら辛いだろうな。宿り出す生命の記憶。そっと僕ら自由を手に入れて、そうやって表現していればそれでいい。
キラキラはしゃぐ潮の流れ。抱きしめあって、赤に戻る。躓いて笑う日も、涙の乾杯も、命を込めて僕ら生きている。缶ビールが、今日はいいかな。月を持った、仮の笑みで、日々を踏み締めて歩く。孤独のそばにある夕暮れ。残らない言葉が、記憶の中で痛む。文字にできるなら、気が済むのだろうか。向こう側から分からない物体が進んでくる。詰め込んでいる歌。孤独のそばにいる家のベッド。日々受け止めてくれる何かに、僕らずっと支えられている。そうやって生きて、そうやって死んでいく。
「塞いでいた心の中で、何か今日変わった。」
「これは日記か?」
「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。」
「どういうことだ。」
「思い出っていう捉え方もあるわ。」
「それには、日が浅すぎる。」
「あら、今だって、過去じゃない。」