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坂道の途中で

朝、遅刻ギリギリの時間に校門へ向かう坂を走る。息が切れて、リュックがずしりと重い。けど、なんとなくこの瞬間が好きだ。風が顔にあたって、心臓が全力で「生きてるぞ」って鳴ってる気がする。

教室のドアを開けると、友達の笑い声とチョークの粉の匂い。昨日と同じ日常なのに、どこか少し違う気がする。窓際の席の彼女が髪を結んでるだけで、それだけで景色が変わる。

昼休み、購買のパンをかじりながら、ふと思う。大人になったら、こういう何でもない時間をきっと思い出すんだろうなって。テストや部活や、どうでもいい会話。全部、今しかない。

放課後の夕陽が坂道を染める。影が長く伸びて、自分が少し大人になったように見えた。明日もまた同じ坂を走る。それでも、今日の風は、今日しか吹かない。

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